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血観音のBaadのレビュー・感想・評価

血観音(2017年製作の映画)
3.8
JAIHO配信にて。第13回大阪アジアン映画祭コンペティション部門で上映された台湾映画。

1980年代、母娘3人で骨董商を営む棠家は実は上流階級に食い込むフィクサーのような仕事をしている。その顧客の一家が一人娘を残して惨殺されるという事件が起こる。

予告編で見ると昭和の日本の犯罪映画のようにドロドロして陰惨な雰囲気に見えるが、実際に見てみると、吉田秋生の漫画『吉祥天女』のような雰囲気の世界だ。
作中で起こる事件は陰惨なのに見やすいのは弱い立場の登場人物の気持ちに寄り添った描写がなされているためだろう。

作中土地をめぐるプロジェクトが時代を変えて二度出てくるが、事件が起きた1980年代と現在では関わる人物が特権階級から一般に開かれてきたのが違っている。

ビルマから帰ってきた中華民国軍人の未亡人家族の話なのだが、各国に根を張っているようでいて実は孤独な女たちの生き方が胸に迫る。

表で行われている華やかなスキャンダルに比べ、ラスト近くの電車の中でのシーンが効いていた。
あと、成長した現在の末娘の陶製の義足が印象的。

家族は熱心な仏教の信者ということで、般若心経と思しきお経が何度も唱えられるのだが、字幕わざわざ台本から訳しているように思えた。むしろ日本で一般的に唱えられているお経をそのまま使ったほうがわかりやすかったのでは?

まだ何度か見たいと思いましたが、満足というのには微妙に足りない感じです。

(生き残るための犯罪 2021/10/23記)
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