ピッツア橋本

モリのいる場所のピッツア橋本のレビュー・感想・評価

モリのいる場所(2018年製作の映画)
4.4
“森と共生するモリ”

実在した芸術家、熊谷守一の暮らしにフォーカスを当てた自伝的ドラマ…なんだけどテイストは脱力系自然派コメディ。

森のような自宅から30年近く外に出ずに生活していたとされるモリの極めて特異なライフスタイルをベースに展開されるストーリーはゆっくりと変態的。

日々、この家や庭で起きる機微をじっくり観察し、お昼寝し、妻に小言を言って、仕事に関してはどんなオーダーも無視して直感でしか表現しない。

アリの群れを横になってじっと観察するモリ(山崎努)の演技が愛くるしくて、可笑しくて仕方ない。

序盤は今村昌平版『楢山節考』を彷彿させる自然ぶり。
中後半からは沖田監督節がぎゅっと出ていて、ユーモアと人間味、そして意味不明だけど笑える瞬間が多々ある。

世代的に三上博史が珍しく映画に出ていて、しかもこんな不思議な役を演じることに何だか感慨深さがある。
目力がすごいなぁ笑

実話系のはずなのにとてもメルヘンで、癒される作品でした!
ピッツア橋本

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