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メイキング・オブ「プレーム兄貴、お城へ行く」のBaadのレビュー・感想・評価

3.7
IFFJ2017にて鑑賞。

平たくいえば、去年(2016)IFFJで評判の良かった『プレーム兄貴、お城へ行く』のDVDおまけ映像のメイキングの完全版に日本語字幕をつけたもの、らしいんですが、とはいえ珍しい昔風の超豪華娯楽映画のメイキング。監督は寡作ながら撮る映画撮る映画大ヒット。その秘密を探ろうと意を決して劇場で観てきました。

『プレーム兄貴~』を観て思った通り、古き良きヒンドゥー教徒の美徳を讃えるのが映画の目的だとか。これはこの監督のどの映画でも常にそうですね。最初の映画に抜擢されて主演デビューしたのが『ブレーム兄貴~』の主役でもあり、今稼ぎ頭のサルマーン・カーン。ご本人は映画一家に生まれたハンサムなイスラム教徒の若者でした。こういうところでバランスを取っているのですね。
このフィルムで取り上げている過去作はおもにサルマンが主演したデビュー作と、あまりにも有名な大ヒット作"Ham Aap ke Hain Koun"。
このへんのクリップはけっこうたのしい。

印象的だったのは誰もが賞賛する監督の穏やかな人柄。丁寧な職人仕事的な映画の撮りかた、同じスターを続けて起用する家庭的な雰囲気、など。全盛期の日本映画と同じような匂いを感じます。

あと、物語のクライマックスで出てくる鏡の宮殿がセットであること、セットの設計なども面白かった。これ、撮影で壊しちゃうんですよね~もったいない。
意外にもアクションの演出がきちんとしているのは今評判の某監督(SLB)には真似できない美点ですね。

強いもの、身分の高いものが、庶民を認めてその美点はちゃんと尊敬すること~そういうのは夢物語なのかもしれないのですが、それが存在する世界を描き続けた作家。その人の素顔の一端を見られただけでも良かったかなあ。

でも、これに1800円とるはちとどうかと思いました。やはりメイキングはメイキングですから。

驚いたのは、2015年でもインドでは豚フルで隔離されてしまうんだなあ、ということ。撮影中に主演女優のソナム・カプールがかかってムンバイまで搬送され、撮影に影響したそうです。
(たかがメイキング、されど・・・ 2017/12/22記)
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