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ジョン・ウィック:パラベラムのHrtのレビュー・感想・評価

2.8
もちろん楽しく観たのだが今回のジョンが対決することになるニンジャ集団のエキゾチックジャパン的ノイズが邪魔だった。
日本となるとニンジャ、スシ、カタナというステレオタイプを見事に踏襲して全く新鮮さもなくお届けしてくれている。
殺陣は前作までの柔術多用のガンアクションのかわりにアジア的なケレン味を出したソードアクションへとシフト。
これも個人的に「わざわざ『ジョン・ウィック』で観なくても」という感じだったが、ガンフー以降のアクションのバリエーションを増やすという意味では十分成功していたと思う。
カットも真下からだったりガラス越しだったりと、ただのアクションに映らないよう試行錯誤されていた。
ニューヨークの街を馬で駆けるジョン。
モロッコの砂漠で1人さまようジョン。
韓国アクション映画『悪女』よろしくカタナバイク集団とチェイスアクションを繰り広げるジョン。
同じ画に飽きさせないためや世界を広げるためにアクションやロケーションも変わる。

主席連合という謎の設定がますます肥大し、秩序の裁定人まで登場。
彼女の地位が主席連合クラスなのがまた物事を混乱させる。
ジョンの追放と処分くらい主席連合の誰かがやれよ、と思った。
ただそれだとまた返り討ちにあって壊滅させられるだけの話になるから裁定人にやらせたのだろう。
思い返せば私欲でも情でもなく秩序に徹する彼女の立ち位置はこのシリーズでは珍しい。

終盤のコンチネンタルNY vs 特殊部隊の激戦は特に見応えがあった。
9mmパラベラム弾はこの特殊部隊の装甲を貫くのに有用で(全然効いてなかったけど)、このとき初めて副題が意味を成した。
クライマックスはニンジャ集団との死亡遊戯。
素早さのないジョンが後手に回っての殺陣だが、その階級の違いみたいなものが新鮮だったりする。
しかし元々重さに重きを置いた殺陣を心掛けていたシリーズだけに違和感は拭えない。
自分がジョン・ウィック保守なだけだが気持ちはあまり盛り上がらなかった。

ラストの解釈は人によるだろう。
ウィンストンは保身のためにジョンを銃撃し屋上から墜落させた。
コンチネンタルNYを守ったジョンへの明らかな裏切り行為で闇社会の住人ならそれも躊躇いなくやると思うが、一方で彼を逃すためにわざと防弾スーツめがけて撃ったとも考えられる。
その後一命を取り留めたバウリー・キングに拾われたジョンが怒りを露わにしていたことから、主席連合かウィンストンあるいは両方への報復を描くこともあり得る。
いずれにしてもめちゃくちゃな展開を期待して4作目を待ちたい。
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