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ザ・メニューのHrtのレビュー・感想・評価

ザ・メニュー(2022年製作の映画)
3.6
稀代のシェフ・スローヴィクが考え抜いたであろう渾身のフルコースが選び抜かれたゲストたちを巧妙に追い詰めていく様子が毒で満ち溢れながらも進むごとに痛快さを増していく。
レイフ・ファインズはシェフとしての威厳にナイーブさが見え隠れする絶妙なバランスでスクリーンの緊張感を保っている。
特筆すべきはやはり予期せぬゲストとして彼のナイーブな部分を露呈させ続けたマーゴの存在。
急な代役としてタイラーに連れてこられた彼女はスローヴィクの作品へ身を任せることへ頑として抵抗し続けついには唯一の彼のゲストとなることに成功する。
作中、彼女だけがシェフ自ら作り上げる料理を口にすることからも明らかだ。
金持ちたちの虚栄心から生み出されたこの完璧主義のモンスターは自らをもコースの一部と成り果てることを選ぶ。
100分弱という尺はちょうどよく、まさにフルコースを楽しむくらいの時間だった。
知識だけは人一倍というタイラーは自分を見てるようで痛かったし、「じゃあ作ってみろ」とストレートすぎる要求をするスローヴィクが面白かった。
だけど今まさに感想を書いている自分もその対象となっていることを忘れてはいけない。
これは人間をテーマに掲げたフルコースだ。
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