秋月

ほえる犬は噛まないの秋月のレビュー・感想・評価

ほえる犬は噛まない(2000年製作の映画)
4.5
困る…この映画のレビューは非常に困る



この作品をブラックコメディとして片付けて良いのだろうか?

ポン・ジュノ監督お得意の登場人物まともな人間出てこない映画


そう、まともな人がいない…いや、まともな人間など現実にいるのだろうか?
みんなどこかしらズルしてみたり、仕事をサボってみたり、人に意地悪してみたり、何か自分勝手に考えてみたことが一回や二回はあると思う。それこそ私は数え切れないほどにある。。


ポン・ジュノ監督の映画はそんな些細な自分勝手の積み重ね、もしくは理性で抑えている自分勝手の向こう側を表現しているのではないかと思うのです。

これを人間の業の肯定と言っている方がいました。
成程、私がこの監督を好きな理由が何となくわかった気がします。


犬を拐うシーンや犬を吊るそうとするシーンはなんであんなに面白く撮れるのか謎です。
トイレットペーパーを転がすシーンやマンションの廊下を走るシーン、トイレで賄賂の話をしているシーンも印象に残ります。
クローゼットに隠れていてそれがバレそうになるシーンもホラーテイストに撮っていて爆笑してしまいました。


私は娯楽映画よりもメッセージ性がある映画の方が好きです。
自分を後押ししてくれる映画、自分を受け入れてくれる映画、自分の考えや行動を変えてくれる映画が好きです。
しかしこのポン・ジュノ監督の作品には明確なメッセージや娯楽映画的なエンターテイメント性、その2つの要素がない気がします。それかその2つの要素が両方とも内包されている気もします笑

何が言いたいかと言うと、私が好きな映画の特徴を持っていないのに、何故かこの映画は好きなんです。ポン・ジュノ監督の他の作品も
これは私にとって新しい発見であり不思議な体験です。

夏が終わる前にそんな不思議体験をされたい方は是非ご覧になってください。
秋月

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