キナ

最初で最後のキスのキナのネタバレレビュー・内容・結末

最初で最後のキス(2016年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

想像以上にポップな演出だけど、起きている事は大分重め。
好きな要素は多いけどブレも気になって素直に思い切り楽しむことはできなかったかも。もう少し強く感情移入したかった。

直情型なロレンツォとブルー。
ハジける二人に合わせるように楽しむアントニオのバランスにどこか危ういものも感じつつ、ワイワイやってるハズレ者3人をニヤつきながら観ていたら、あまりにも唐突なラストに呆気に取られたまま終わってしまった。
事の分岐点・救いの道・正しい進み方を明確に観せてくれるけれど、ロレンツォが死んでしまった直後にその映像は、ただただ辛くやりきれなくて憎らしい。

お洒落なファッションに身を包んでニコッと笑うロレンツォが可愛いけど、辛い事があるたびに頭の中で幸せな現実を創り出す姿が切ない。
死んだ兄を側に置いて会話をするアントニオと、歳上彼氏とその友達からの強かんを自らの希望だったと飄々と話すブルーにも共通していた。
私も人生なかなか上手くいかないくて頭の中にもう一つの現実を持っているので、3人のこの部分にはかなり共感してしまったな。
大なり小なりどんな人にも当てはまることだとは思うけど、ハッキリと映像で表現されるとグッと来るものも大きい。

ファッショナブルで開放的で寛容なイメージのイタリアとは思えないくらい、保守的で排他的な学校の生徒と先生にはつくづく腹立たしく思う。
少々行き過ぎな気のするロレンツォの行動も、それを受けてのアントニオの行動も最後の悲劇も、こんな環境じゃなければ・追い詰めるものがなければ…と考えずにはいられなかった。
ただやはりあそこまで3人ベッタリ仲良し!な関係に、強引に恋愛をねじ込むべきではなかったのかもしれないな…何を言ってもタラレバになるし、現にこの映画の元となる事件があるしで答えなんて無いんだけれども。

音楽に合わせて踊り弾ける、ミュージカルモドキ的なシーンが印象的。
ただ、そのひとつひとつが結構長くしかも多用するので若干押し付けがましく感じてしまい間延びしているように思えたのが残念。
大切なイメージシーンではあるけど、もう少しテンポ良く心に響くようなものであって欲しかった。

胸が張り裂けるようなラストだと思うけど、残念ながらそこまで感情移入できず。
納得がいかなくて色々考え込んでしまう作品だった。
その割に言いたい事が多くて支離滅裂な文章になってしまった気がする…
キナ

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