RAY

パンとバスと2度目のハツコイのRAYのレビュー・感想・評価

3.7
“好意の先にあるもの”


以前からずっと観たいと思っていた作品。
『愛がなんだ』の今泉力哉監督作品です。


『愛がなんだ』で衝撃を受けたことも鑑賞理由の一つですが、印象的なタイトルにも惹かれました。


今泉監督は所謂“こじらせ”の描き方はとても上手だなと思います。
それはキャラクターや台詞にもよくあらわれています。


「付き合ったり、結婚したりしていないから一緒にいることができるってあるのかな?」


少し分かる気がする台詞です。

観終えた後、このレビューを書いている今、考えているのは、これって本当に“こじらせ”なのかなと言うことです。
この映画のHPにも“こじらせ”と言う表現はされているし、そうなのかもしれないのだけど…。

僕はみんな同じじゃないのかな?と思うのです。
先程紹介した台詞もそうだし、他の台詞でも同じ事が感じられるのですが、それは、“自分じゃなくても良い”と言う感覚です。

“自分のどこが良いのだろう”なんて感覚は、仮にお付き合いしていても常に感じてしまうことだと思うのです。
自分より魅力的な人なんていくらでもいるんじゃ…?みたいな。
だけど、僕はそれを聞くのが少し恐いと思うので聞きません。


この映画はきっと、好きとか愛しているを超越した唯一の感覚を描いています。
ですから、もしかしたらこの映画を観て、「面倒臭い」と感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
それでも、僕は前向きな何かを感じる事が出来た気がしています。


すごく感覚的な映画なので、なかなか伝わりにくい作品である気もします。
観た直後は少し戸惑ったのですが、考えれば考える程、味のある映画であると思いました。


深川麻衣さんも良い演技でした。


観て良かった
RAY

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