モリユウキ

マリア・ブラウンの結婚のモリユウキのレビュー・感想・評価

マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)
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めちゃくちゃヒリついた作品。
商業主義と訣別した芸術性を追い求めたのがニュー・ジャーマン・シネマだというのも納得。
敗戦直後のどん底から成り上がるも結果的に心の貧困は埋められないという開発の問題でもあり、「彼が好きだったけど、私は夫を愛している」という台詞が象徴する、論理が破滅した恋愛がこの世には成立し得る事を描いたものでもある(婚姻契約への執着?)。
ラストまで、総じて悲観的な感情が漂っているが、「画面の向こう側の虚構だし」とは終わらせる事ができない心臓を灼かれたような余韻が残った。