ホラーというよりお化け屋敷的なファンタジー映画。
「それぞれの思い出の品を探して燃やす」というのがジュブナイル映画だった前作を引き継ぐ意図があるんだろうな。
前作はそれぞれに悩みや苦しみを抱えた少年少女が仲間と恐怖に打ち勝つドラマ。今作は、大人が子供時代の思い出にけじめをつけるというのがテーマになっているのだろうか。
大人になったルーザーズが子供時代のトラウマ(ピエロだけじゃなく、虐待だったり失恋だったり)と向き合って乗り越えていく過程が、ピエロとの戦いとリンクしていく。
この子供時代の葛藤と、大人が子供時代を振り返ってけじめをつけるというのはスタンドバイミーでも同じよね。ラストに小説書くところとかまんまじゃん。
キングの原作がそういうジュブナイル要素強めなんだろうけど、この映画はそれ以上にびっくり箱的な脅かし方の連続と、ピエロとの最終決戦のファンタジー世界観が強烈だった。
別に怖がりたいわけじゃないので、このくらいの半分コメディ感が助かる。仲間が襲われてるのに「来なけりゃよかったー!」みたいなんずっと叫んでるし、3つのドアのところとかも笑えるよね。
とはいえ、中華料理屋のシーンは怖かった。音といきなりの登場で脅かすびっくり一辺倒じゃない、ああいう不穏さが高まっていく演出ずっとやられていたらかなりしんどかったと思う。
あと冒頭のゲイカップルが痛めつけられるのが一番見ててしんどかった。
ドクタースリープ見た直後だったので、トイレの個室に閉じ込められるシーンの「お客様だよ!」からの、血の洪水は笑った。
オマージュで言えば、スタンリーの頭にクモの脚が生える化け物はもしかして遊星からの物体Xですか?
妖怪伝説というのは、水辺だったり山の奥だったり、危ない場所に子供がいかないようにするために怖がらせる話だという。
そう考えると、ペニーワイズが水辺に古くからいるというのもなんとなく納得できる気がする。
伝承がある地よりも、少し離れた場所の方が話に尾びれがついて恐怖譚が肥大化するとも聞く。だからあの罵倒して倒すという対処法も妖怪伝説の本質を突いているのかも。
それにしてもインザトールグラスにしろペットセメタリーにしろ、キングは超常現象の説明に困った時に先住民使いがち。