女性のエンパワーメントで終わらず、最後の最後で「女や物や名誉を所有したり、競争に勝ったりしなければ男に価値はない」的な男にかけられた呪いにまで焦点を当てているのが良かった。
コミカルな笑いで陳列された「男らしさ」の数々の解像度が高く、唸らされた。筋肉、毛皮、馬、ロック、車、ゴルフ、株価…。
男の自分が見ても「分かる!キショいよな!そういうの!」と前半は見ていられるのだが、うんちくを語りたがるとか、なんでも教えたがるとか、そういう次元まで高度に再現してそのキショさを指摘されると、もうなんかそこに自分の姿を見て笑えなくなってくるんだよな。
これを見てから現実世界に戻ると、いかに世の中がそういうホモソーシャルを前提としたメッセージで溢れているかがよく分かる。それは女性にかけられた呪いと表裏一体だ。
冒頭のバービーランドのシーンなんかは、映像表現として面白かった。見えない水が見えるし、なんなら見えない手が見えるし、そこで遊んでいる子どもの顔が見える。