いろんな意味で昔の映画感があった。冒頭の古い映画のような質感は面白く、カットもカッコいい。ただ、価値観にあまり共感はできなかった。
主人公は最後までいい人風に描かれているが、常に行動原理が自分中心。
「子どもたちのために遊び場がなんとしても必要なんだ!」と理解したからこそ奮闘するならいいんだけど、「自分が生きた証を残したい」「最後くらい誇れる仕事をしたい」というのは自己満足でしかなくない?
最初からちゃんとやれよというだけの話だし、一民間人ならともかく役所の人間がそれで英雄視されるのはちょっとみんな役所に求めるハードル低すぎない?
もちろん時代背景もあるのかもしれないが、今の時代にこれをリメイクする意味はあったのかな…
そういう意味では、残された同僚たちが結局変われないところがシニカルで良かったかもしれない。映画的には盛り下がるのだが、人間結局余命宣告でもされない限り変われないのである。
寿命を言い訳に若い女の子を自分の都合で振り回すのも結構見ててキツかった。これ欧米のイケオジ風だから見てられるけど、そこら辺にいる居場所のない中年男性に変換するとかなりしんどい気がする。
映画中盤でいきなり亡くなって、登場人物たちの目線から彼を振り返ることで物語が進む構成はすごく面白かった。