とびん

SUNNY 強い気持ち・強い愛のとびんのネタバレレビュー・内容・結末

SUNNY 強い気持ち・強い愛(2018年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

主人公は、余命僅かの旧友と再会したことをきっかけに高校の頃の親友たちを探すことになる。昔とは生活も環境も違うものの、あの頃の絆を取り戻すお話。

大根仁って過去と未来が繋がる瞬間が好きなんだろうなと感じた。
『モテキ』しか見てないんだけど……笑
この映画は、笑いあり涙ありの王道映画なのだが、自分はこれを見て終始切ない気持ちになってしまった。
孤独を感じる瞬間って多くある。
おばあさんが道に落としたみかんを一人で拾っていたとき、野良猫が日向ぼっこをしながらじゃれていたとき、そして、過去を思い出して浸っているとき……。
昔に懐かしさや美しさを求めるのって、縋っているみたいで見てて苦しくなる。
当作には全くそういった意図はないんだが、自分はこれを見て前向きな気持ちにどうしてもなれなかった。根が暗いんだろうなあ……
シナリオの点でいうと、展開も予想通りだった。
奈々が人目につかないのは、顔にけがしたんだろうな。ということは顔を汚させるのは、鰤谷かなと脳裏によぎったけど、本当にそうだった。
自分はこの作品に、成長が見られなかったと思う。
彼女らの絆ってたしかに尊いものなのかもしれないが、それだけ。
アルコール依存症を脱したわけでも、どん底に下の営業成績が上がったわけでもない。
それなのに、住まいを与えて美容室を開店する費用を賄ったり、営業部の部長を昇進させたりする行為って、根本的な解決にはなっていないのではないか。
そもそもこの作品のメッセージは、あの頃の絆とかあの頃のポップカルチャーなのかもしれないが、そこらへんがご都合主義すぎると感じた。
広瀬すずの演技もあんまり好きじゃない。なんか彼女の演技ってやり過ぎ感ない?
ただ水道水を飲んでいる広瀬すずはめちゃくちゃ可愛かった。
あと三浦春馬、かっこよすぎ。

ここからは、完全に個人的な話なんだけど。
俺の母親は、酔っぱらうと人肌を求めたり、必要以上にかまってきてうざくなる。
その瞬間が、何より嫌いだった。嫌いだったというより、苦手だった。
泥酔した母親は、誰よりも子どもっぽくて、幼稚だった。
そんな瞬間を見ると、母も一人の人間なんだということを実感し、一人の人間が酔ったからという理由で温もりを求めるという行為は、まるで仕事から帰ってきたご主人に尻尾を振って飛び込む犬みたいで、彼女が孤独の中で生きているんじゃないかと不安になる。
不安になって、泣きそうになる。
だから、自分はつっけんどんに接するが、母は泣き出しそうな四歳児のような表情で俯くだけだった。
そんな顔をする母も、そんな態度をしてしまう自分にも嫌悪感が募って、苛立ちとか焦燥感とか悲しみとか怒りとか切なさとか、棘のある感情だけがぐるぐるしてとても辛くなる。
この映画を見て、ずっとそんな気分だった。
40代の人とかが、若い頃を思い出してる姿ってそういった母の様子を思い出してしまうんだよなぁ。今作は、母と歳も近かったし……。
今度帰るがてら花とか渡そうかな。
とびん

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