Habby中野

鍵のHabby中野のネタバレレビュー・内容・結末

(1959年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

4つの種から別々の芽が出、それぞれが絡み合いながらも思い思いの方向へ伸びていく。そしてそれが最終的に一つに収束したところで、開いたのはしかし全く別の、萎れた小さな花だった。
絡み合っていながらも一人一人が物語の鍵を持っていて、誰かが自分の意に従うたびにその進む方向がぐらつき、予想を超えたところへ向かっていく、その不規則性がいちいち興味をそそった。貞淑な妻の顔をしながら夫が死ぬと思わず笑みをこぼす京マチ子と、ずっと同じ表情なのにどんどん腹黒さが見えてくる仲代の演技も良く、また汽車のシーンは笑ったけどそのくらいのやりすぎ感ある映像のブラックさも良かった。

追記
人間の"若さ"を性欲、イコール肉体の力と捉える反面でその身体の表情の裏で支配したつもりの精神の存在を描き、しかし最後には全員が肉体的な死を以て終わりを迎えるという展開のおもしろさもあったな。
Habby中野

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