“WWEの舞台裏、それ自体がプロレスの神髄であった”
アメリカを拠点に置く世界一のプロレス団体WWEの元スーパースター、イギリス出身の女性レスラーのペイジに密着したシンデレラストーリーをスポ根映画化。
製作出資もWWEであり、ザ・ロック(ドウェインジョンソン)をはじめとした往年の名レスラーたちも随所で出演する。
かれこれプロレスファン歴20年の自分も納得のプロレス裏側、
WWEの厳しいトレーニングとそれに立ち向かうレスラーたちの生き様に視点を置いた濃密な人生劇場は共感せずにはいられない。
いちドラマ映画としても完成度は高いけれど、どこか“WWEの裏側大公開!”的なドキュメントとして、それも自然に観れる構成が素晴らしい。
闘いよりもショーとしてプロレスを見せる本作。
「プロレスって八百長なんでしょ?」
という素朴で残酷な問いに、これまでのプロレス映画の中で最も真摯に回答しているのが本作といえよう。
練習風景の中でペイジが
「そのタイミングで技を当てると怪我するでしょ!?」
と相手レスラーを本気で怒るシーンがある。
このセリフにプロレスとは何なのかが集約されている。
プロレスとは総合格闘技にあらず、本気で戦いを演じる総合格闘芸術なのだ!!誰かに怒られそうだけど、本作を盾にしてこの際言わせてもらう(笑)!
プロレスとは勝者も敗者も勝者に等しく大事な役割であり、その全てが≪プロレスを成立»させている。
レスラー、裏方、ファン…プロレスはそこに携わる全ての人々が演出であり、それぞれ等しく役割を与えられたキャスト、ギミックなのだ。
プロレス一家で育ったペイジを中心にその微妙な距離感やニュアンスが自然と映像として語られ、きっちりドラマとして成立させている本作って素晴らしい。
つまりこの『ファイティングファミリー』の108分にはプロレスとは何か?の答えがほぼ網羅されている。試合シーンは意外と少ないんだけど、リング外の事もめちゃくちゃ興味深い。それもまたプロレスの沼!!
プロレスの神髄、美しさ、豊かさを誠実で楽しいドラマとして描いた本作に最大の賛辞を贈ります。
そして、本作を入門書としてプロレスがさらに世間に浸透していくことをいち映画&プロレスファンとして心から願っています。世界中に届け!!
Just bring it!!