昨日初めて、映画を観たくなくなるほど嫌な気持ちに襲われた。だからこそ、自分の好きで落ち着くコメディを求め始めた。もうこれを観るのは3回目だ。
そんな前置きで済ませようとして大事なこと言ってなかった。世間的には大酷評を浴びているこの映画だが、自分にとってはオールタイムベスト級に好きな映画なのだ。そもそも三木聡監督が大好きだ。あの訳の分からない、なのに笑ってしまうシュールな面白さ。
監督が映画デビューして約15年が経ち、ストーリー性を帯びるようになり、作風も完全にエンタメ化した。ことが進む度にワクワクする感情も、間違いなくこの映画の評価を上げている。それでも過度な小ネタを忘れずに。理解は追いつかないけどシュールで笑ってしまう言葉の数々と、お婆様方のフォークのような状況的な笑い。
「大怪獣のあとしまつ」を観た後だからこそ言えることとしては、デウスエクスマキナは2連チャンだったんだという事と、いつまでも片山友希の扱いが雑だなって事。
にしても多分この相馬大輔という天才的な撮影監督が三木監督のもとに再集結しない限りこの面白さは難しいかもな。他の作品と同じような照明とのマッチングに加え、今作だけのド派手で荒々しいカメラワークがあり、完全に我がものにしていた感があった。
阿部サダヲ対ふせえりの窓弁償シーンが特に印象に残る笑いかな。阿部サダヲは三木組初参加とはいえグループ魂などで発揮してきた本人の会話力が生かされている気がした。吉岡里帆はただただあざとい。演技が少したどたどしいのが映画自体の減点に繋がったのなら惜しいな。まぁこの映画での演技って相当むずいんだろうけど。
とてつもない静けさの中で終わる映画に興奮できるのはなぜだろうか。ふうかの成長という視点から観た時に、初見時は泣いた。泣かせにくる情熱が現れやすいテーマではあるけど、それにまんまとハマりましたね。
