「アイズ・ワイド・シャット」風の音楽が鳴り響き、豪華絢爛げな雰囲気を醸し出しているものの、ホテルの客は仮面を被っていて素性を明かさず自由を謳歌しているというテーマと物語がリンクせず、ラストの仮面舞踏会的な落としどころも上滑り。
また潜入捜査というのは、ホテル側の人間に警察という立場を知らせずに潜入し情報を入手したりキーマンに近づく捜査に使うのであって、木村拓哉がわざわざホテルのフロントに立つ理由がよく分からない。裏でモニターで監視し、いつでも動ける体制を作っておく、あるいは客に変装して見張る方が自然だろう。
ホテル側と警察側の距離感もよく分からない。確実に犯行は起こるが、いつ起こるか分からない状況で、犯人をおびき寄せるために、ホテル側に詳細を知らせずに捜査するという方針にそもそもリアリティを感じられず、明らかに怪しさ満点の登場人物たちがオムニバス的にフロントを尋ねることでドラマとして成立しているものの、冗長な印象は否めない。