sally

Merry Christmas!~ロンドンに奇跡を起こした男~のsallyのレビュー・感想・評価

4.7
誰にでも、誰かの重荷を軽くできる
過去、現在、そして未来
あなたを繋ぐ鎖はどのくらい?
心に潜む暗闇が物語に息を吹き込み
過去の痛みと向き合うきっかけとなる
血は鉄に、心は氷に
優しさと寛容がをもたらす喜び

いつでもクリスマスのような心で。

ディケンズが生み出した傑作『クリスマス・キャロル』ができるまでの物語。
毎日をクリスマスのように、あたたかな心で過ごせるように。

クリスマスは人の財布をくすねる日、誰も祝ったりしない。
幼い頃の記憶が悪夢となって現れては、心の闇が過去と現在、そして未来までもを鎖で繋いでしまう。

登場人物と対峙して物語が紡がれていく演出がとてもファンタジック。
作者の経験に基づいた物語には、確固たる意思や、救いがある。だからこそ、誰かの重荷を軽くできるのだ。
優しくなりたいのに、なれないから孤独になる。孤独を救うのは、寛容な心で過去を赦せたとき。鎖でなく、優しさで繋がる世界。

心が暗闇で覆われてしまいそうな時は、この物語を思い出して。
1年に1度のクリスマスは優しい気持ちで、大切な人と過ごす日。悪夢を生み出すのも、消し去るのも、自分だから。

名作が生まれるまでの過程こそが、すばらしい物語。
『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!』
『トールキン 旅のはじまり』
『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー』
こちらも好きな作品なので、また観たい。

伝記映画としても、クリスマス映画としても、本当に良かった◎

(映画『クリスマス・キャロル』は10作くらいあるので、どれを観ようか迷っています)
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