三畳

カメラを止めるな!の三畳のレビュー・感想・評価

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)
4.5
X年前に自主制作映画作るのに参加したことあるんです。ラストで死ぬ役だったから白いドレスに血のりをかけられて、屋上のさらに一番高いところ(本作で出てきたみたいな)に一人で寝かされたら、
カメラやスタッフがみんな降りて何か作業始めて、動けないまま日も沈みかけ、臭い血のりが下着までどんどん染みてきて、あの不安な空の色。

私は演技の世界にかすりもしてないのに、単にそのサークルのみんなと仲良くなり始めた時期の昼も夜も遊んでワクワク勢いだけで出演頼まれて何も考えず快諾して。
衣装を作るための古着を買いに行くにもいちいち着いて行って。そのグルーヴや。

いつでも自由のきくスタッフなんていないに等しいので、出演者自ら互いのシーンをレフ板持たされたりするあの感じ。

倦怠感蔓延る終盤にはもうとにかく早く仕上げて家に帰りたいという絶望的な一縷の気持ちのみで無言の一致団結したりだとか。

そういうのが写っていること、フィクション映画が演技でも作り話でも、写っているその画は真実の記録だということを、よくよく知った。

トラブル続きで出来た映画はグダグダで、メタ構造だのミスリードだの前衛だの監督のやりたいこと一生懸命詰め込んで、どうやったら伝わるか考えて、
見た人からはわけわからないって言われて、データも今誰が持ってるかわからなくて結局2回しか見てない。
あー、あの時間、なんて楽しかっただろう!

レビューじゃなくてごめんなさい。でも笑ったり、さわやなハートフルの仕込みに感動したりしたそれ以上に、映画を作る人たちへの親愛を思い出させる、思い出に触れたくなるあったかい気持ちに私はなりました。

それに低予算とか無名とかをこんな風に活かすなんて、あと曲者揃いとか全然見たことない設定でもないのに、ずるい、悔しい、羨ましいっていうモヤモヤもあります!

でもそんなモヤは、三谷幸喜をリスペクトしてるという若い監督に、その作風がこんな風に受け継がれてヒットしてることが嬉しくて、すっ飛びました。ラジオの時間を超える勢いもあったと思う!

パンフがお買い得。台本が全文載ってるなんて。そして最初のページの監督インタビュー、すごく良くて。ほんと監督の言ってるそれが言いたくて言えなくて思い出話を書いちゃった。
パンフまで含めてこの作品世界です。
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