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イライザ・シュレシンガーの一撃必殺のkissenger800のレビュー・感想・評価

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たまたま目に入ってきたtofubeatsのインタビュー記事に

“僕のエッセイを読んだ後輩ミュージシャンのin the blue shirtって子が「日記とは何かが起きて、そこから何を考えるのか。その思考の矢印が面白いんや」ということを言ってて”

”今回『トーフビーツの難聴日記』を書いてて「これは意味がない文章かもしれない。ただ自分の矢印が残ってれば、誰かにとっては面白いんだろう」って”

「好書好日」 https://book.asahi.com/article/14618342

はあはあそうですね。と思い直したので、いやこの作品のレビューにニーズあるとは思えんぞ。とスルーしていたのをかろうじて記憶あるうちに振り返るんですが、1本目ほどの笑いが自分の中に生まれなかったのは早くも「この人の言いたいことはコレで」「そこから逸脱するにしてもレンジはこの程度」って見極めが出来てしまったから。
落語家をホメる最上級のことば「フラがある」、出てきただけでオカシイ、同じエピソードを同じタイミングで話してるのに笑える。みたいな静的たたずまいの重要性を尊ぶ語彙なんですけど、スタンダップという芸の特性なのかアメリカという国の国民性なのか、どうしてもみんな待てないよな。てなことを思いながら見ていました。

ただUS版「¥マネーの虎」こと「Shark Tank」に仮託したネタが最終盤にあるんですが、そこまでのネタで出てなかったイライザの芸の奥行きを示して、あそこは良い。
おもしろうてやがてかなしき、な興趣は狙いにいくとあざとさが先に立ってきわめて難しいものですけど、やっぱりそういう要素が無いと見終わったときの満足度が違うものなんだな。という学びがありましたね。
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