三畳

プリシラの三畳のレビュー・感想・評価

プリシラ(1994年製作の映画)
3.6
昔、日常的にロングスカートを履く10歳上の男性と一瞬付き合ってた。
彼の仲間たちは…私にとって接しにくかった。メイクをするのとヒゲを剃らずに残すのは矛盾していると感じたし、自らオカマジョークを振ってくるのに反応によっては突如キレたり。人が見れば「何見てんのよ」と挑発するけど目をそらしても罵る。レズは蔑称でレズビアンが正しいなど。

当時は性自認と性的指向と異性装を混同していた無知な私に非があったはず。
とはいえストレートの友達と知り合っていくのと同じように、小学生的オープンマインドでひとりひとりと話して知り合っていったから、体系的な区分を意識さえしなかった。無力無善寺に出入りしていたころはそういったこと以外でも見た目より複雑な人がたくさんいたし。

何が嫌で何を歓迎するかは人それぞれで、いきなり相手を理解しようとするのも、ジロジロ見るのも目をそらすのも、誰に対しても失礼なこと。

と思っていても、その頃の経験から今でも苦手意識がある。偏見よりももっと個人的なソースに基づいた決めつけが残っちゃっている。
特異さも含めて普通の人であることを無意識に望んだり、普通に接する自分(おごり?)を課してフラットとは何かよくわからなくなっている。

ひとつ今回の映画を観て「いちいち威張り散らかしてそんなに喧嘩っ早くならなくてもいいのに」と思ってた偏見が消えた。ドラァグクイーンは社会に対してファイティングポーズありきの文化、そうならざるをえなかったということ。自分のまわりではみんなが仲良く、日本・海外における差別の歴史も苦悩も知らなかったことを恥じた。

ドラァグクイーンはパフォーマンスであり、女性性を強調したパロディをする男性自認で、同性愛者(が多い)性転換を望んでいるかは人それぞれらしい。
改めて考えると元彼はMtXでバイのクロスドレッサーだったのかな。
三畳

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