回想シーンでご飯3杯いける

レイニーデイ・イン・ニューヨークの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.8
ウディ・アレンも、エル・ファニングやティモシー・シャラメをキャスティングする時代になったのかぁと感慨深げにオープニング。しかし、Macbook Airも登場する現代劇でありながら、2人の服装が必要以上にクラシカルな事が気になってくる。今時、こんな大学生いないのでは、と。

日本ではエルとティモシーの知名度が高い事もあって「2人のカップルが素敵」というレビューが非常に多いようだけど、僕はむしろ逆で、今作での彼らはアリゾナの保守派家系のお嬢様と、インテリなんだけど母親の顔色を窺って大学を転向してしまう甘ちゃんの息子という、悪い意味で現世離れしたカップルとして描かれているように感じた。先に書いた服装もそのディレクション故なのではないか。エルが雨の日に出会う映画業界の大人達も同じで、ニューヨークの業界のスピード感に翻弄される大人として描かれる。ビジュアル的にはお洒落なんだけど、描き方にはウディらしい毒が満載だ。

そんな中で、中盤に登場するセレーナ・ゴメスが凄いインパクトだ。ディズニー・チャンネル出身で、現在では映画から音楽、社会活動まで繰り広げる、行動的な若者のアイコン的存在の彼女は、アメリカではエル・ファニングより影響力のある存在。そんな彼女が演じる恋愛に対してドライかつ積極的な人物像は、衣装にもしっかり反映され、本作に於ける刺客として見事な存在感を放っている。

ラストシーンの後、パケ写を改めて見直して、赤い傘の部分のぼかし方が確信犯的だと思った。