橘宏樹

レイニーデイ・イン・ニューヨークの橘宏樹のレビュー・感想・評価

4.2
おいおいオシャレすぎだよ。

ウディ・アレンはもう、ファントムスレッドみたいな自分の心の恥ずかしさ丸出しの映画は書けないんだろうか。撮れないんだろうか。ウディ・アレンほどの映画監督なんだろう。ちゃんと正面衝突事故起こして欲しい。なんか逃げ腰なのがかっこいいと思ってる自分がカッコ悪いって十分わかってて苦しんでる俺…なんてホントむしろ恥ずかしいわ。反吐が出るわ。お前がゲロをガッツリ吐けよ。ウディ・アレンなんだったら。

エル・ファニングもティモシー・シャロメも、ていうかジュード・ロウ様まで付き合わせて何やってるんだよ。

ミーハー癒し系アホ女子にチヤホヤされたくなって、南仏行ったら多分お互い飽き始めて、刺激を求めてまた大都会に戻ってくる。その行ったり来たり。だからどうした。

というクソさを、一気に押し隠す、あっという間に押し流す、瀟洒でゴージャスで洗練され切った画面作り。

ティモシー・シャロメのNYの雨にしっとり張りついた美しいシルエットや妙に目を奪われる横顔の伏し目。ポケットに手を突っ込んでがに股に歩くだけでもう充分過ぎるという天性のスター性に、ウディ・アレンも魅せられて、乗っかって、利用する。

ただ美だけが全ての恥ずかしさを覆い隠す。

圧倒的に、逃げ切りやがって。

最高。
橘宏樹

橘宏樹