ミーハー女子大生

50回目のファーストキスのミーハー女子大生のレビュー・感想・評価

50回目のファーストキス(2018年製作の映画)
3.2
オリジナルはマイベストの一つ。
故に本作も期待したのですが...。
残念ながら無駄に多いギャグシーンがオリジナルの持つ切ない世界観を壊しています。
故にリズム感も悪く、感動しそうになると冷めるの繰り返し。
オリジナルの記憶で補完されて感動した感じです。
本当に残念。
制作者が意図している「大人が楽しめる恋愛映画」ではありませんね。
ギャグがしんちゃんレベルなのでティーン向けかな。
鑑賞された方は、ぜひオリジナルと見比べて欲しいと思います。
それが答だと思いますから。

交通事故の後遺症で眠ると記憶が失われてしまう瑠衣(まさみさん)と彼女に一目惚れし、1日で忘れ去られてしまっても、一途に彼女を愛し続ける大輔(山田さん)のピュアなラブストーリー。
この部分はとても良かったです。
プレイボーイで女性と真剣に恋愛してこなかった大輔が自分を犠牲にしてまで瑠衣に尽くす姿は胸が熱くなりました。

・・・ですが、福田監督ならではと言うべきなのか?
ギャグがこの純愛映画の中にかなり入り込んでおります。
おバカでゆる~いギャグがところどころ入っております。
これがメインストーリーの純愛の邪魔をしなければいいのですが、ハッキリ言って邪魔で仕方なかったです。
ギャグが寒いのは許せます。
しかし、そのギャグの描写で気になるところが2つありました。

1つ目は瑠衣が通院している病院で同じような記憶障害の青年が登場します。
彼は20秒で記憶を失ってしまいます。
瑠衣とその父親と弟、大輔と顔を合わせ「はじめまして」(←劇中では英語で言っております)と言って全員と握手をして、しばらくすると、また「はじめまして」と言って握手をする。
この繰り返しの場面。
監督は笑いを取ろうとして描いたと思われるシーンですが、これほど短時間で記憶を失ってしまうことは、かなりの重病だと思われます。
1日で記憶を失ってしまう瑠衣は悲劇のヒロインとして描きながら、この青年はお笑い担当。
同じ病気でこうも違うものとは・・・。

2つ目は瑠衣の弟が同性愛者であることをギャグにしている点です。
先日のとんねるずのテレビ番組で非難をあびたばかりですが、日本人はホモセクシュアルを笑いにするのが好きなのでしょうか?
こちらも大輔に一目惚れしてしまった弟さんは「代わりに俺と付き合え」、「胸毛をよこせ」、無理矢理キスしようとする。
このような行動をするたびに父親からビンタを喰らうシーンがあるのですが、同性愛者を笑い者にしている感が強すぎて逆に引いてしまいました。
そもそも自分の運転による交通事故で娘がこのような記憶障害になってしまった父親が三流お笑い芸人のようなギャグを連発する行動を取ることに違和感を覚えてしまいました。
どちらも目くじら立てて怒るほどのものでは無いかもしれませんが、ラブストーリーの部分が良かっただけに、このギャグは「いらなかった」ように思いました。

記憶障害というテーマ重視のラブストーリーだけではかなり重い作品になります。
そこにユーモアを入れることは悪くは無いと思うのですが、それが上手くハマらなかったのが残念な気がします。
山田孝之さん、長澤まさみさん、お二人ともとてもいい演技をされていたので、「もったいない」気持ちが残ってしまう作品に思いました。

ストーリー 4
演出 2
音楽 3
印象 3
独創性 3
関心度 4
総合 3.2