YasujiOshiba

エクスティンクション 地球奪還のYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

-
見終わったとき、ああそれで「地球奪還」というタイトルなのね、と思ってしまった。

ぼくは、『カメラを止めないで』以来、伏線とその回収がつい気になってしまうのだけど、この作品、その意味では悪くない。きっちり伏線を回収してると思う。

侵略のシーンは、それなりに面白かった。フィリップ・K・ディックばりの「夢」の伏線が効いているからだろう。すでに見たものが到来することによって、なにかウムハイムリッヒなものがうまく印象づけられた。

ただ問題は、その回収先に何を見せてくれるか?そこではもっと、不気味なものが見えてもよかったのだと思うのだけど、それがない。ほらねこういうことなんだよと説明はしてくれるんだけど、映像に驚きがない。

驚きの演出は、あれじゃない。あれじゃイコンの光背。そういう視覚的なものじゃなくて、ベンヤミンのいう触覚的なものじゃないと、ウムハイムリッヒはうまく表現できないんだよね。

視点の置き方は、たしかに新しいのだけど、それさえあれば、ほんとうはもっと違う映画になることもできたと思う。けれども、その「それ」が難しいんだよなと、つくづく感じさせてくれた一本でした。

追記:
なんかみた記憶があるけど冒頭のシーンだけ見てみるか。そう思って観はじめたら最後まで見ちゃった。今日は2019/11/30だから、一年3ヶ月暗い前に観てたんだな。結局は公開されることなく配信になったみたいだけど、映画館のほうが楽しめるかもしれない。

最初見たときはフィリップ・K・ディックを思い出したんだけど、今回は『A.I.』とか『エクスマキナ』とか『バトルエンジェル』とか『オートマタ』とかを思い出した。ようするにピノッキオの大人版なわけだ。
YasujiOshiba

YasujiOshiba