真田ピロシキ

ブラザーの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

ブラザー(2017年製作の映画)
2.8
ながら見できる映画を探してて無害なマブリー映画は良いと思ったのだけれど、緩さを求めているにしても厳しい。気の抜けた音楽や文字が溢れるコメディ演出がどうにも寒くて真面目に見れないし、父親の葬儀のために兄弟が戻った名家は悪しき家父長制の総本山で酷いもんだがそれがコメディ演出のせいで軽く見せられる上にあまり批判なく垂れ流されるために面白くない。ひょっとしてものすごく時代錯誤な映画なのでは?と思ったね。マブリーも感じ悪いクソ兄貴なので萌え映画として受け取るのも難しい。

家に帰る途中に車で撥ねたオ・ロラさんの正体については種明かしをする前に気付いたが、最初に車内で話していた記憶喪失や故郷といったワードが真相の伏線になっているのは上手い。この辺では寒い演出もなくなり比較的真面目な映画になってて、クソッタレ儒教家父長制ワールドにも明確な批判のメスが入れられていて製作者の価値観に安心できる。それでも作中の行いが正しかったかと言うと疑問だ。結局あれで息子二人とは断絶したまま死に別れる事になったわけでしょう。その無念を埋めたのがあの縁なのでしょうが、そんな手遅れになってからされても哀しいよ。後半盛り返したとは言え、マブリー映画の中では今のところ一番面白くなかったかなー