こなつ

記憶の夜のこなつのレビュー・感想・評価

記憶の夜(2017年製作の映画)
3.8
「最後まで行く」の脚本を手掛けたチャン・ハンジュンの脚本・監督作品。2017年公開の韓国スリラー/ミステリー。「ミッドナイトランナー」のカン・ハヌルと「悪人伝」のキム・ムヨルがW主演。
8月に観ていたのだが、レビューをしていなかったので。

序盤、何か不審な雰囲気ながら事の真相が全く見えて来ない。家族で新しい家に引っ越してきて一見幸せそうな家庭。夫婦と息子の兄弟はどこにでもいる普通の家族だが、新しい家には開けてはいけないという部屋があり、秘密のにおいを感じる。ある雨の夜に突然兄が誘拐され、拉致されてから19日後に帰宅するが、記憶を失っていた。平穏を取り戻しつつある日々の中、彼の不審な行動に気づいた弟が事件の裏に隠された真相を探ろうとする。

1997年の韓国が舞台。韓国経済が破綻して人々が経済的苦境に立たされた時代背景。生きるために間違った選択をした青年が、負の連鎖にはまって行き、何とも救いようのない現実があまりにも悲惨なものだった。信じていたものがドンドン壊れていく。そして辿り着いた真実は、私達の想像をも超えていく。

ホラー苦手な私は、次に起きることへの不気味さはあったが、ミステリーの枠を超えてはいなかった。想像のつかない結末という意味では面白かったが、「解離性健忘」で失くした記憶を取り戻させるために、警察がここまで仕組んでいたとは、、、驚きの脚本。

闇サイトみたいな求人に普通の心優しい青年が、一瞬の迷いで縋る状況は今の日本の若者の犯罪と重なる。被害者も加害者も結局は最後はこうなってしまうのかというやるせない思いが残った。
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