わたふぁ

覗くモーテルのわたふぁのレビュー・感想・評価

覗くモーテル(2017年製作の映画)
3.5
覗き専用のモーテルを自営し、30年もの間覗き見していた過去を持つ男ジェラルド・フース。80歳を目前にして、独自の体験を本にまとめて出版することを切望していた。
本の題材になることは覗きをしていた当時から希望していて、1980年にすでにある作家の元に手紙を送っていた。それがアメリカの著名なノンフィクション作家ゲイ・タリーズだった。彼も80歳を過ぎており、2013年頃、慌てるようにこの題材に手をつけたのだった...。

屋根裏に覗き部屋を作り、覗きやすいよう細工した通気口から昼夜、宿泊客の様子を観察する。目的は主に他人のセックスを目撃すること。飲まず食わずでも問題ないほど夢中になり、フースの(前妻と)妻は食事を運ぶなどの協力もしたと言う。
にわかに信じ難いほど強烈な体験談だ。完全に犯罪行為だが、もう時効を迎えている事、フース本人が書籍化を希望している事、そして日記や日誌など詳細が書かれた書類が残っていた事もあり、ネタとしては最高の品だ。

しかしそれを取り上げて「うわー変態ー」で終わるドキュメンタリーではない。ネタ元本人と、独自の切り口で語りたい大作家と、一連の騒動を記録したい映像チームの三つ巴だった。

フースにとっては人生の大半を費やした出来事で、これが言わば集大成。映像化に伴い多角的に捉えることで上手くまとまったと思う。
フースだけを追って証言をまとめて世の中にリリースしてもそれ以上話は広がらない。わー変態ー、でたぶん終わってしまう。しかしタリーズによって誌面に載り、ニュースで取り沙汰され、書籍化、そしてNetflixにて配信されたことで、やっと面白く完結した出来事なのだと思う。

それくらい全く笑えない案件。