回想シーンでご飯3杯いける

志乃ちゃんは自分の名前が言えないの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.5
言葉を上手く話せない女子高生の志乃ちゃんが、歌を通じて自己表現の道を見付ける物語。題材が「心が叫びたがってるんだ。」に似ているものの、本作では、志乃ちゃんが、音楽好きではあるものの音痴なクラスメート、加代ちゃんと出会い、互いに協力し合っていく事で友情を築いていく様子が繊細に描かれていて、助ける側と助けられる側が一方通行になっていない点で、とても魅力的な作品に仕上がっている。

そう言えば、本作ではブルーハーツの曲が取り上げられているが、韓国人留学生と日本の女子高生がバンドを組む「リンダ リンダ リンダ」でも、同じように彼らの曲が取り上げられていた。シンプルな歌詞だからこそ、コミュニケーションが苦手な若者の心をつなげる力を持ち得る。音楽がこういう形で映画の中で活躍するのを見るのは、本当に嬉しい。

志乃・加代のグループに後から加入する事になる菊地という男子生徒が、単にストーリーを混乱させる存在に見えてしまったのが残念なポイント。例えば、音楽の才能が凄くあるとか、3人のバランスを犠牲にしてでも加入させなければならない必然性みたいなのが描かれていれば、ドラマとしてより深みが出たと思うのだけども、、、。