お湯

未来のミライのお湯のレビュー・感想・評価

未来のミライ(2018年製作の映画)
3.0
◇単純化と複雑化

言語化が難しい、何かしらの難しさがある、この映画。

バケモノの子だけ、一回しか見ていないので記憶が薄いが、「時かけ」「サマーウォーズ」「おおかみこども」は、
ストーリーが複雑(キャラが多い、ルールが多い、感情が複雑(葛藤))であり、かつメッセージが単純(何が伝えたいか分かりやすい、テーマが一貫している)。
これが細田守の特徴だと思っているが、この特徴もあまりしっくりこない。


今回これが何か大きく変わっていて、でも逆転しているわけでもなくて……
ストーリーが複雑であることが内面化されている、分かりにくくなっている(未来ちゃんが来るルールが最後まで見当たらない)。
あと、メッセージについても、くんちゃんの成長、というのは分かるが、しっくりこない難しさがある。
それが悪いことではないけど、エンターテインメントとしてどうなのか、と言われればそこまでだと思う。

何も考えずに見ると、ストーリーは入ってきやすいけど、メッセージは何ですか?って感じ。

ちゃんと色々勘ぐって見なくては行けない映画だったのかも。

感情が分化していないくんちゃんから見た物語であること、そしてややオムニバス的にキャラクターが語られることが
この単純に見えるストーリーと、複雑に感じるメッセージを生み出している。

すごく難しいこの映画。
結局納得できずに終わった。私には難しかった。


ただ単純な話になるけど、ストーリーに引き付けられない。おもしろくない。万人受けしなさそう。語り方が好きじゃないかも。

バケモノの子も面白いと感じなかったので、やはり奥寺佐渡子さんに帰ってきてもらいたい。

〇絵はやっぱりすごい。日常とファンタジーの融合が美しい。
実験的な描写もいくつかあって面白い。

今まで緊迫した場面で使われていた、無音と人の声(息をはずませる、泣く)を織り交ぜた連続のカットバックは、また使われている。
細田守の映像だなと思わせるけど、今回はそれほど緊迫していない場面で、しかも、何箇所もで使われるので、くどいと感じてしまった。
くんちゃんにとっては、緊迫した場面なのかもね~


〇細田守が、ジェンダー界隈で危険視されているのは有名な話ですが、同じく危険視されている新海誠とは違ったやばさ、がある。

新海誠(特に君の名は。)は「のびたさんのえっちぃ!!照」スピリットを正統に受け継いだ性加害への軽視が問題視されているけど(それでも新海誠作品は好きだけど)、
細田守は、制服コンテンツへの溺愛ぶりと、家族観の押し付け?といった、精神的加害というか脅迫が問題視されているように思える(それでも細田守作品は好きだけど)。
新海誠は完全にそこの問題の部分を作品から取り払うことが可能だけど(ストーリーの大枠とは関係ない)、細田守は問題となってる部分が物語の根幹を成す部分なので難しい。だからこそ、批判も強くなる。


日本のアニメーションは性コンテンツというイメージにも繋がりやすいし、子供が見るものっていうイメージとも繋がりやすい。
矛盾しているように見えるんですが、この2つの側面があるからこそ、日本アニメを作るには、フェミニズムやジェンダー問題をしっかり理解しなければならないとされるし、私もそう思う。
詳しくは語らないけど。


今回かなり批判を気にしたのか、男性が家事育児をするという描写が取り入れられた。
ほほう、と思った途端!途端に「雛人形早く片付けないと、早く結婚出来ない!」を深く掘り下げる!
そして案の定、未来ちゃんはいつでも制服を着ている。

そういう脅迫が問題なんだよなー、と思ってしまう。
インクレディブルファミリーが同じ家庭環境で、素晴らしい映画だっただけに残念。ピクサーはそんなこと言いません、絶対。


こちらも難しい問題ですけど、表現として向き合わなければいけない問題だと思う。、
疲れた
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