新木

15時17分、パリ行きの新木のネタバレレビュー・内容・結末

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

イーストウッド先生、がっかりです。NHKのドキュメンタリー観てたほうがよっぽど面白い。
自撮り棒持ってヨーロッパ周遊している画は単純につまらない。あの屋上でくさくてよくわからない言葉も気持ち悪さしか残りません。また、当事者本人が演じていることも別に観てていいなとも思わなかったし、だからあんな事件外の回想が長々と見させられたのかと思うと。思い返せばところどころ演技もぎこちない。テロを防いだことはもちろん素晴らしい。それも実話。ハドソン川に続いての奇跡である。一方で描かなくてはならないのは、もう片側だ。テロリストになってしまった人の心境、環境である。
人は奇跡というものに弱いので、彼ら3人は偶発的に生まれたヒーローとしてしばらくの間崇められるだろう。観客たちがこの先関心を持たなくてもおそらくいい生活をしていける。しかし犯行に及んだ者は彼らとは180度異なり、必然的にテロリストとなった。その背景には貧困、差別、宗教、いろいろなものが予想できる。そちらに目を向けるべき題材ではないだろうか。百歩譲ってヒーローを描くにしてもヒールと対比させなくてはいけなかったと思う。

『ジャージーボーイズ』は歌モノだから別として、『アメリカンスナイパー』『ハドソン川の奇跡』。この2作は単体で面白く鑑賞できた。そして今回の『15時17分、パリ行き』。あまりにもアメリカ礼賛の実話しか描いていない。アメリカによる究極の自作自演。しかも今回は内容も面白くない。
なにより興醒めなのは、トランプというヒールを生み出した国に生まれた御監督が、彼の支持を公的に表明し、いまもその国のヒーローを描き続けているということだ。
ウディ・アレンとイーストウッド先生の新作は、とりあえず観なくてはと思っていましたが、改めなければならないのかもしれません。映画界の老害ウエスタンにならないことを切に願います。
新木

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