Yukenz

1987、ある闘いの真実のYukenzのレビュー・感想・評価

1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)
4.1
韓国民主化に関する映画を集中的に見ようということで、次は事実に基づくこちらの作品を選択。
登場人物が多くバンバン話が進むので関係性を掴むのがやや難しい。予めネット検索して相関図を見ておくといいかもしれない。

警察の拷問によりソウル大の学生が死亡した事件を巡り、隠蔽に走る政府内部と、不正行為を許すまいとする検事・記者・刑務所関係者・民主化運動家そして学生をはじめとする民衆による対立を、かなり骨太に描く。多くが実在の人物として登場する。

特に警察当局の武力・暴力によるデモ鎮圧や拷問シーンには息が詰まるが、バイオレンスだけではなく、隠蔽が明るみになっていく情報戦など水面下での応報や、家族や親族・同志たちの繋がりなどドラマ的要素もしっかり描いていて見所が多い。

韓国の民衆が自らの力で勝ち取った民主主義。タイトルにある1987年が韓国では大きな意味を持つ事がよく分かった。

翌1988年がソウルオリンピックで、鈴木大地が得意のバサロ泳法を活かして100メートル背泳ぎで金メダルを獲得した様子をテレビで見ていた記憶がある。
その1年前に韓国全土でこのような民主化闘争が繰り広げられていた事に当時は全く気付いていなかった。自分が物心ついた時には日本は民主主義が当たり前だったし、親も周りの大人たちも民主化について話題にする事もなかったように思う。

韓国人の民族としての力強さは、大陸続きという背景もあってか、自ら声を上げて主張し、時には同志と団結し、行動しなければ何も得られないとの考えが根付いているからなのか。

今の日本人にその力強さはあるだろうか。武力を行使するのではないが、平和ボケしていないだろうか。世界にもっと目を向けなければと思う。
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