このレビューはネタバレを含みます
毛色は違うけどこんな続編もあり!ただ前作にあったメキシコカルテル底知れねぇ‥感はなくなってたけども。
あと、本当に米国政府があんな冷酷かつ非道なのかは考えなくてはいけない。もうちょい気を遣ってるでしょっていうかジョシュ・ブローリンに色々権限与え過ぎじゃないっすか笑。
ただ暴力描写の嫌〜な感じは引き続き素晴らしい。
カットを割らない長回しのシーンが効果的で特に冒頭のスーパーでの3連爆発は白眉。
ここで、この話は何の落ち度もない子供が死んだりする話ですよ!って提示しているのが後々効いてくる。
もちろんアレハンドロも娘を殺されてるし(手話を使える理由が娘絡みで超切ない)、イザベラも父親の仕事が麻薬王というだけであんな最悪な事態に巻き込まれてしまうし、メキシコの少年ミゲルは家族のためにお金が欲しくて始めたカルテルの仕事手伝いがどんどんやばい方向にいってしまうし、ミゲルの仲間の少年達も虫けらみたいに殺されてしまうし。
何よりギョッとしたのは移民を送り届けた後のミゲルの送迎のバイトをしてる女が赤ん坊を現場に連れてきてること。劇中では何も起きなかったけども、母親が安易な理由で選んだ仕事であの子が晒される危険性を考えるとゾッとする。
そして親の都合で子供が振り回されるように、本作の登場人物はみんな自分より上の立場の人間に振り回され、汚れ仕事をやらされ、場合によってはトカゲの尻尾のように切り捨てられたりする。ジョシュ・ブローリンでさえ本当の強者ではない。
中盤の車を挟んでの銃撃戦でも巻き込まれるイザベラの目線から非常に恐ろしく撮られていて、ただのアクション映画にしない気概はビンビン伝わってくる。
何が悪かわからないし、上の人間は責任は取ってくれない。イザベラの親は娘の側にいた運転手を責任の見せしめで殺すように命令しただけで、劇中に登場すらせず娘の為に何かをしているように見えない。合衆国大統領は保身に走ってイザベラやアレハンドロの口を塞ごうとする。本当に腐り切ってる。
そんな中、唯一既に失うものがなく、己の信条に沿って動くアレハンドロの存在だけがカタルシスを与えてくれる。頭撃たれてからの復活もえ?マジで?ってびっくりしたけども、誰の助けも借りず死の淵から戻ってくる男、完全に自立した個を描くための演出と考えればありかな?いや無理あるか笑
脳味噌らしきものが垂れてたのに1年間であんな回復するのは無理があるのでは。
まああの特殊メイクは本当にリアル過ぎて久しぶりに特殊メイクだけでびっくりさせてもらったけども。
あと、あの傷が後遺症になって口が聞けなくなって手話で話すようになるって展開ならちょっとグッときたんだけどなあ笑。
後やっぱテロリストたちメキシコ関係ありませんでした!ってくだりのあっさり具合はある意味リアルだけど雑ですなあ。あの家族吹き飛ばされたソマリアの海賊可愛そう。
ジョシュ・ブローリンが最後、仕事よりも仲間の意思を汲んで男の意地を通すのは良かったです。
後、テイラーシェリダン作品に共通する
こんなとこ住むのはもちろん一瞬たりとも行きたくねえ!
って思わせる手腕は相変わらず見事でした笑。
さて、3作目はどうなるやら。