チョマサ

万引き家族のチョマサのネタバレレビュー・内容・結末

万引き家族(2018年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

6/23
是枝作品をちゃんと見るのは、これが初めて。TVで「そして父になる」を少し見たくらい。なんか真面目そうな作風だから進んでみる気が起きなかったんだよなあ。

タイトルから犯罪を誘発させるとか騒ぎがあったけど、そういう映画ではなかった。かといって、この人たちを許すとか認めるとか、そういった分かりやすい気持にさせる映画でもなかった。
(余談:アニメと犯罪の関係の議論と同じで、参考にされることがあったとしても、作品自体に責任はないと思う。『バトル・ロワイアル』で決着が着いたと思ってた)

この家族を理想として描いて血縁がなくたって家族になれるという話かと思ったら、この家族も元の家族もどちらにも問題があるし、家族だけど分からない所が互いにあるのを見せてくる。分かりやすい感動作ではないので観ているとどうしたらいいのか気持ちの置き所がわからなくなってくる。

パンフレットで音楽の細野さんが、ドキュメンタリーに「音」を添えていくような方法がこの映画には最適なんだ、と語っていたのを読んで、映画も一つの家族のドキュメンタリーとして見たほうが納得できた。
なにかこの映画にメッセージがあると考えて見がちだけど、結局は映画なんだから、これを社会問題と絡めて見ようとするからよく分からなかったんだと思う。
そういったことを無視すると治の矛盾した人間性もこういう人間なんだと納得できるし、昼間の情事や雨の中に走るところとか、疑似家族の一時の記録として印象に残る場面が多かった。

いちばん良かったのは取り調べのシーンで、刑事が取り調べで正論をぶつけるのだけど、観客はこの家族の今までを見ているから、刑事のいい分も正しいけどそうじゃないと思うように出来てるのは面白かった。
ラストの祥太も元の家族は子供を車に放置してパチンコをするような人間だから期待はできないけど、家族と言うものが何か知りたいから会いに行ったんだと思う。

ただ、こういう映画は苦手で、もうこれ一本でいいかなと思う。
チョマサ

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