TakuMori

万引き家族のTakuMoriのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.6
おばあちゃんの年金目当てで集まり、万引きで生計を立てる擬似家族の物語。
DVに遭っていた他所の子も“万引き”して、家族が増えて…

偽りの家族だけどそこには確かに絆と愛情が存在して、でも偽りであるが故の秘密や打算が個々にあって、歪な世界だった。
自然に万引きしたり間違った価値観を植え付けられる子どもが本当に可哀想で……こういうのはダメだ。
ダメな大人を演じたらリリーフランキーに勝てる人いるのか?

大きく「貧困」と「家族」がテーマにあったけど、色々な社会問題がとにかく散りばめられていて。
いわゆるケータイ小説ばりの詰め込みだったけど、下品になってなかったのは味付けが上手いのか。
終わり方はメッセージ性強めだったけど。鑑賞側に投げかけるエンディング。刺さった。

かなりフィクションなのに、こんな世界もあるのかもと思わされるリアルさがあって嫌だった。
その対比として、途中で樹木希林が行く一般的に幸せな家庭のシーンで余計につらくなったな。

徐々に家族の形が露わになっていく構成も、おばあちゃんが亡くなってからの展開も、祥太が万引き行為に疑問を抱いて心が離れていくあたりも、安藤サクラの名演も、全部が良くて語り尽くせない。
元のタイトル案は「声に出して呼んで」だって。なにそれつらすぎるよ。

不器用だからダメ人間でいいってことはない。不器用であることは悪なのかもしれない。
幸せになってくれ。
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