たな

万引き家族のたなのネタバレレビュー・内容・結末

万引き家族(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます


いびつな集まりが家族以上の何かに見える瞬間がいくつも

面白かったです。
海辺での並んだ背中や、見えない花火を縁側から揃って見上げるシーンなど。
それまで丁寧に描かれてきた登場人物のいびつさが、ある瞬間にピタリと合わさって、画面のなかで家族としてピカピカ輝くシーンがいくつもありました。

それぞれが全員と一対一の絶妙な関係を持っているところがいいです。
父と息子の関係って難しいと思うのですが、父の良いところにたっぷり包まれた後はマジックのタネが明かされるのと合わさって息子が成長していきます。
最後にはキチンと父を乗り越えて行く所まで描いてくれて良かったです。常にネタばらし(マジックや万引きの是非、本当の親の情報など)をするのが母の役割なのもいいですね。

個人的には、「血の繋がらない彼らを繋いでいたのは真実の愛だったのだ(デデーン!)」じゃなくて「たとえ利害関係の寄せ集めでも、そのなかに本物以上の何かが生まれることがある」ってとこが良かったです。

本当に傷ついている人って「痛い」って言えないんですよね。その代わりに人の傷に寄り添って「痛いね」って他人の傷に手を当てることで自分自身が癒されたりする。
そういう繊細な表現が上手い作品だなぁと思いました。

けして永遠ではない一時の幻のような吹き溜りでしたが、オシッコの匂いのする日焼けした畳で鍋をつつき、汚い風呂に入り、海に行き花火を見て雪だるまを作る。もう家族以外なんでもないだろって言うくらい家族でした。
最後、バラバラにほどける所も家族らしいですよね。家族ってけして固定されたものではなく、人生の流れのなかの不確定な一瞬の「よどみ」に似ていると思います。あ!つまり、スイミーですか!🐠監督すごいです。

限りなく不衛生なのに、みんな根底が「まとも」だから、清潔じゃないのに美しく、不安定なのに安定して見えるんだよな( ´∀`)リリー・フランキーだけはちゃんとポンコツに見えました。

リンちゃんは最後、ハッピーエンドじゃないかな?あの時の記憶と、もらった名前に守られて、もう少し大きくなったら自分の足でいい未来へと歩んでいけるような気がします。

長くなりましたが、面白かったです🐠
たな

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