このレビューはネタバレを含みます
真贋とは
主人公は絵画鑑定士。
その真贋決定権を利用し、本物を贋作と偽ったりして自身の懐に名作をコレクションしています。
そんな真贋を見極める目を持つ彼が惹かれるのが「本物」にはあるはずのない「不自然さ」というところが、とても面白いです。
本物大好きな主人公は「完璧で本物の舞台」ではなく、そこに点々と落ちている偽物の欠片を追ってしまうんですよね。
いかなる贋作の中にも本物が宿る。
そのことまで分かっていながらも真贋を明確に決定してきた彼の「真」と「贋」の線引きを揺さぶり続けます。
埃が積もっていないオートマタの一部品から始まり、ラストの歯車だらけのカフェは私には巨大なオートマタの内部に見えました。
彼は、オートマタのなかにいたという、真実を持った小人になれるのか?
真贋というテーマはとても興味があったので面白かったです。