Hana

万引き家族のHanaのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
5.0
「それ以外何で繋がってるっていうんだよ。」
「お金でしょ。普通はね。」

何で繋がってたんだろう、それを愛と呼ばずになんていうんだ。でも違う、そう呼びたくない、一言で片付けてしまいたくない、言葉でカテゴライズしたくない。言語化することで私たちは安心する。男女間で「私たちの関係って何?」って、確認するのは野暮でしょう。それとこれとはまた話が別だけどさ。愛なのか?情なのか?はたまた都合がいいだけの関係なのか?当の本人たちにだって分からないまま、誤魔化しながら、正当化しながら、疑いながら。「痴情の縺れ」とか、「年金の不正受給」とか「誘拐」とか「万引き」とか「売春」とか、彼らの行為に名前をつけるとしたら、そりゃそうなんだけど。この人たちにあえて名前をつけるとしたら、そりゃあ「万引き家族」になるんでしょうが。だって、いかにもマスコミがつけそうなネーミングじゃんね、「万引き家族」って。

事実と真実の違いは何ですか。
警察彼らの正論は、本当に正論なんだよなあ。学校に行って、友達と出会うことは本当に彼に必要なことなんだよ。むしろ、「ああ、今しょうたに本当に必要な言葉を言ってくれてありがとう」とすら思ったよ。産まないで母親にはなれないんだよ。死体は勝手に埋めたらダメなんだよ。なんでそんなに、正論なんだよ。しかも、しょうたにも、りんちゃんにも、なんでそんなに優しいんだよ。家族を引き裂く酷いやつらみたいに描いてくれた方がダメージ少ないのに。だから、どうしようもない。ああやっぱり正しくないんだって。ダメなんだよなあって。苦しいなあ。
好きだから叩くのは間違ってるということ。男はみんなおっぱいが好きなんだということ。カレーうどんとコロッケが相性バツグンだということ。悲しいときは足がいつもより冷たいこと。塩を舐めたらおねしょしないこと。素麺はエッチだとういうこと。ビー玉を覗くと海が見えること。台に登れば、外が見えること。
嘘だらけの彼らの、正しくないけど、嘘じゃないこと。忘れないで、消えないで。
悪いこと、優しいこと、汚いこと、綺麗なこと、傷つくこと、救われること。短い刹那に凝縮された、人生について。
りんちゃんも翔太も、きっと大丈夫。子供たちは進んでいける。
Hana

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