芥川

万引き家族の芥川のレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.5
「家族」とは、一体何を持ってそれを証明するのかというと、結局のところ現代社会において血の繋がり、というよりは行政的・福祉的な契約上の繋がりに帰結するしかないのだというのが、最後まで見た所の印象。

遅かれ早かれ、この擬似的な家族はこうなる運命だったと思う。

成り立ちからして非常に不安定な土台の上での生活だったはずで、誰かが致命的な病気や怪我をするだけで瓦解したであろう関係が、たまたま長引いていたのだろう。

擬似でも何でも、自分たちにとって都合よく暮らすための口実だったものが、たまたま上手くいっていただけで…
結局、幸せなような、ぬるま湯のような、現実を見ず半ば空想の世界にはいつまでも居座る事はできず、本当の「現実」が、物語が進むにつれて根こそぎ露わにされていく。

刹那的な幸福を見つめるだけでは、誰も救われないような事になりかねないという危うさが感じられた。


子供は真の被害者である。社会に対して徹底的に為す術もなく流されるだけだが、この状況においてどうすれば救われたのだろうかと思う。
芥川

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