Mariko

彼が愛したケーキ職人のMarikoのレビュー・感想・評価

彼が愛したケーキ職人(2017年製作の映画)
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たぶん最初にクリップした時は邦題くらいは見てたはずだけど
トレイラーはもちろんのこと、
「ふたりを結びつけたのは、愛した "同じ男" と
 甘くほろ苦いケーキだった------」
というコピーすら読んでなくて
今回観るにあたってはジャケのSchwarzwälderkirschtorte
(黒い森のさくらんぼケーキ)の写真しか観てなかった😅上に
最初に出るタイトルは Der Kuchenmacher だったので
「シェフ(パティシエ?)がおいしいケーキを作る楽しい話」
を想像していたため
それとは180度違う展開に茫然。

登場人物が少ない上に、全員寡黙な人なので
単位時間あたりに話される語数は『いつだってやめられる』シリーズの
推定10分の1(イメージです)。

まず主人公のケーキ職人が(見た目)そんなに素敵じゃない🤭上に、
感情を表に出さず寡黙なので感情移入のしようがなく、
その他の主たる人たちも皆レベルとしては似たり寄ったりで、
とにかく居心地が悪い状態で淡々と話が進む、、、
と思っていたのは大きな間違いだったことに、とある場面で気がついた。
この居心地の悪さこそが
気持ちのやり場がなく辛い思いをしていた主人公に
完璧に感情移入していたしるしだ、と。
気づいたらポロポロと涙が。

つまり、素晴らしい映画だったのだけど
とにかく辛い。誰ひとりとして幸せじゃない。
ラストの「彼女」の微かな笑顔は...
希望の笑顔ではなくて、希望を持ちたいための笑顔
そう思ってそれもまた泣いた。
Mariko

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