Mariko

パリ、テキサスのMarikoのレビュー・感想・評価

パリ、テキサス(1984年製作の映画)
4.5
『PERFECT DAYS』を観た時の自分の捉え方・いろんな方の感想・レビューから、思うところあってヴィム・ヴェンダースをあらためて観なおしたいな、という企画。

これ、初めて観たのは何年前だったか。
当時ミニシアターがブームで、でも私には「雰囲気はすごくいいけど、そこまでハマるわけでもない」映画が多い印象で、ご多分に漏れず今作もそうだった。

今回久しぶりに観た印象はちょっと違うもので。ストーリーはちょっと綺麗すぎるなと感じるところが多々あるのだけど、そんなことはどうでもよくなってしまうくらい、いろんな場面の演出がうまい。映像作品にしか為し得ない表現、というか。
冒頭あのスライドギターをバックに荒涼とした砂漠を見せられていきなりやられる。そこから、もうどの場面も色遣いと音と画角があまりに素晴らしくて…と考えてみると、昔観た時「雰囲気もの」だった理由がよくわかる笑。
けれど今回思ったのは、要はすべてが「現実」とは限らなくて、登場人物の心象(ある意味願望?)なのかもしれない、ということ。だから「ご都合主義」で入っていけない、ではなくて、気づいたら自分もその心象に取り込まれている、っていうことなんじゃないか、と(考え中)。
『ベルリン天使の詩』は、はなっからファンタジーだと思って観てたからそれが自然だったけど、他の作品は一見すごく現実的なのでそこに違和感があった。でも、こう考えると納得できる。
もう何本か観たいかな。
Mariko

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