Mariko

川っぺりムコリッタのMarikoのレビュー・感想・評価

川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)
3.3
"友達でも家族でもない、でも孤独ではない"といういつものテーマをここまで重く描いてくるとは…。
このタイトルとジャケからは、まさかその「川っぺり」が此岸のどん詰まりで、そこから彼岸を臨んでいる人たちの話とは夢にも思わなかった。

この重さを、あたたかいほのぼのタッチで描こうとしているからそのアンバランスさが怖くて、もう全員ジョーカーさながらのサイコパスにしか見えなくなってくる。そこまで怖いと思わせるキャストは皆さんお見事!中でもムロツヨシの完全に松ケン食っちゃってる怪優っぷりが強烈。満島ひかりのとあるシーンに至ってはもうホラーだったわ。うわあムリこれ…って一回停めた。
もちろん、そういう場所で時間をかけて少しずつ人との関係性を築いていくことで得られる"ささやな幸せ”を描こうとしているのもわかるんだけど、ちょっとこの描き方は私にはあまり肌合いがよくなかったというか。

やっぱり監督荻上直子は、ほんのちょっとの匙加減で私にとってものすごくプラスにもマイナスにも振れるんだな。
かもめ食堂から15年、こういうベクトルになるのも当然だろうし、作品としてはとてもよく出来ていると思うけれど、私が今そこにいたい空気感ではなかった。
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