わたふぁ

アヴァのわたふぁのレビュー・感想・評価

アヴァ(2017年製作の映画)
-
思春期、13才の夏、アヴァは失明の途中にあると診断される。ショックを受けてはいるものの元々自分本位な母親は新しい恋愛を楽しんでいる。夜の暗闇ではほとんど目が見えなくなってきたアヴァの心は、不安と恐怖でいっぱいになっていた。そんなとき浜辺で黒い犬を連れた謎の青年と出会う。彼は逃走中らしかった...。

惜しみなく瑞々しい裸をさらしたり、唐突にポエティックな台詞を差し込んだり、なんだか常にエモーショナルだったり、女の子がたくましく且つ可愛かったり...という点で、ヌーヴェルヴァーグの風が感じられた。
個人的にヌーヴェルヴァーグは「女がいて男がいて車があれば映画は成立する」ということを証明した文化だと思っていて、そのカッコ良さはなかなか真似できるものではないと思うので、さすが本場、と思う。

物語の最初からキーポイントとなる黒い大型犬はアヴァが恐れる「暗黒」の接近を意味していた。そんなふうに始めは不吉な意味を持っていた犬だけど、アヴァが大事に可愛がることで「黒い犬=暗黒」を受け入れ、味方につけるという意味に変化しているようだった。将来的には盲導犬になる姿も想像できる。
何よりラストシーン、彼女が見えないはずの暗闇で彼のほうを見て満面の笑みを浮かべているのが決定的だった。未来は明るい。