Frengers

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのFrengersのレビュー・感想・評価

3.8
 映画に対するメタ視点、足元のショットと境界線越しのやり取り、丘から下る車の反復、幾多のすれ違い、ヒッピー村での西部劇オマージュと映画人としてあることの誇り。タランティーノ監督は最早アウトサイダーではなくど真ん中の巨匠なんだと感じる。どこか「ラ・ラ・ランド」以降を感じさせるのも恐ろしい。

2023年、再見。当時映画館で見たときはシャロン・テート殺害事件の事に気をとられて何もわかってなかったんだなと愕然とした。リック・ダルトン(ディカプリオ)とクリフブース(ブラピ)はそもそも二人で一つという描写(ここで『シャッターアイランド』『ファイトクラブ』を想起)、その二人は更にポランスキー夫妻と対に描かれる。それは足元のショット、それぞれの自宅に帰る際のクレーンショットの反復、丘を上る/下りる、車中ショットで結び付けられる。そして唯一共通項は映画への(無邪気すぎるほどの)愛でもある。その二組に路上で見かけ、その後かつてのスタジオであった場所を巣食い事件の発端にもなるヒッピーの女性にも会う。
そこで起きるのは昔の友人に会って帰ってくるという往復運動で、それは映画における行ったり来たりの象徴にもなっていて感動してしまう。映画に携わる人間としての矜持とも深く繋がり、見事に物語の結末とシンクロする。確かにブルースリーの描き方はアメリカ的ではあるものの、これはそもそもOnce Upon a Timeという「もしも」の話なのであまり気にならない。映画と実生活、求められる仕事と自身の成しえたいことを繋げ、最後に開ける扉…

3.5→3.8
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