ケビン

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのケビンのレビュー・感想・評価

4.8
自分が言わずとも皆さんおっしゃっていますが、見る前に1969年8月9日にシャロン・テートの身に何が起こったのかを予習しておくとより楽しめると思います。
(もはやこの前提がテンプレとなりつつありますが笑)

あと、もし時間があれば宇多丸×タランティーノインタビューがTBSラジオのラジオクラウドアプリで聞けたりするのでそちらも面白いです。鑑賞前でも鑑賞後でも。

ディカプリオとブラピのコンビがまず最高ですよね。ブラピの疑いようのないカッコよさに対して、すっかり落ち目になって自信を失っているディカプリオの対比。

ディカプリオが泣くシーンがまたどれも最高なんですよね。
冒頭のブラピの肩で泣くところとか、子役の子とのやり取りとか。
特にセリフ飛ばして楽屋で暴れるところと、子役を人質に取るシーンが上手くいった時はすごくお気に入り。

落ち目でアルコールに溺れているかもしれないけど、彼は本当に俳優という仕事が好きなんだなってのがすごく伝わって。
悪役としての1シーンかもしれないけど、ああいう瞬間があるから頑張れるんだよな
ってのは自分たちの普段の仕事においても繋がっている気がしました。

ブラピはもう佇まいだけで魅力的で。ヒッピーの少女のあしらい方とか、彼女らの拠点に行った時とか、もちろんクライマックスのシーンとか。

最高かよこいつら。


そしてマーゴット・ロビーのキュートさ。本当に可愛らしく描かれていて。
映画館で「サイレンサー」を見に行くシーンでは、スクリーンの中に本物のシャロン・テートの映像が流れていて、それを見た観客の反応に心底喜んでるところとか可愛すぎるし、スクリーンの中の本物のシャロン・テートもまた輝いていて、なんとも表現し難い感動がありました。
このシーンについてインタビューでタランティーノが、「少しは彼女を墓から救い出せたかな」って言っていましたが、すごく愛を感じたな。

ただ登場人物が魅力的に描かれれば描かれるほど、最初に書いたシャロン・テートに関するある出来事を知っていれば、すごく胸が苦しくなってきて。

その歴史的事実があることで、最初からサスペンスとしての緊張感もキープしている。多幸感に溢れたシーンがどれだけ長く続いていても、これから起こるであろう、おぞましい景色を想像できてしまうから。

そういう意味で「この世界の片隅に」にも近いかな。

そしてその日はやってくる。タランティーノがこの日をどう描いたかは是非劇場で。

このタイトルの意味も、なぜタランティーノがこの映画を撮ったのかも、見終わった後にすごく感じ取れると思います。
ケビン

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