くろねこヤマ子

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのくろねこヤマ子のレビュー・感想・評価

4.0
寸分狂いのない
タランティーノ節の中に。

彼はこの作品で
「こうだったらいいのにな」
を描いた。
坂道を歩く後ろ姿からのラストは
なんか泣けた。愛が溢れてた。

シャロン・テート殺害事件への
新しい切り口。
ポランスキー宅の隣家に住む、
落ち目のテレビ俳優と
彼専属スタントマンを主に添えた物語。

前作「ヘイトフル8」からは
賞を取ろうとする空気が
ビンビンと伝わってきたけれど、
(これはこれで褒めてます)
今作はその臭いチラつかず。

それよりも面倒くさいくらい
監督のオタク気質がダダ漏れで、
詰め込み感が強くて、
随所で気持ちが昂ぶるというか、
ここをじっくり観せるんだ?!
と揺さぶられる感じも悪くない。

ブラピもレオも貫禄ついちゃって。
ザラついた役が本当にお似合いで。

あとチャールズ・マンソン界隈の
描き方がなんともかんとも。
「チャーリー・セズ」を
観る予定なかったけど、
俄然観に行く気持ちになった。

違う角度から
違う解釈で違う表現で。
同じ題材に矢印が向かう作品を、
見比べるのも楽しいって思うから。

史実に沿っているだけが正解ではない
という映画のあり方も
悪くないな、と。

タランティーノ作品の良いところは
観ると芋づる式で
いろんな興味が広がるところ。
そんな気もします。

映画っていいなって改めて思った。