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セレニティー:平穏の海のdeiのネタバレレビュー・内容・結末

セレニティー:平穏の海(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

個人的にはこれ、意外とすごく哲学的なお話な気がしてならない。
と、いうのも深読みしすぎなのと自分のなんとなくの息子の気持ちの理想と想像なんだけど、
まず全てがプログラムされたものなら主人公の苦しみや疑問もあのプログラムの中に含まれたものであり
父があの世界の破綻に気づいたことがさも偶発的に芽生えた自我のような描き方がされているだけで、
むしろ息子は自覚的にあの父親のキャラクターを作ったのではないかという疑問。
ようするに息子が父親との関係の修復のためだったり絆の再生だけではなく、父親の浄化、成仏のために制作したゲームだったんじゃないかと。
ラストで、父も自分も全てを悟った上で再会するという世界を作っていたのは特にその要素が顕著だった気がする。
そして、それが決して息子の自閉した要素を描いたのではなく、例えばより精巧に、精緻に作られた世界の中に生きるリアルな人間の、
生前の思考や行動も果てしなくリアルに作ったものならば、それはもう現実と変わらないのでは、という。
そこにもちろん本人は不在ではあっても、その本物に果てしなく近い存在が、幸福に感じられたのであれば、それはもう美しいほどに現実でしかないのでは、と。
だから、なんていうか、これは生者による死者のものすごく美しくリアルな弔いの映画なんだと思った。
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