悪は存在しないのdeiのレビュー・感想・評価

主役の中庸、無垢のような描き方が素晴らしかった。印象的だった巧の「わからないんだ」の言葉が会話の内容以上に重く、その後の展開に活きてくる。その純朴さでは埋められない齟齬が導き出したラストだと思うと、なんだか苦しい。

田舎にゴルフ場みたいな問題を、この時代にこの空気、温度、湿度で表現するセンスの良さがすごい。邦画の絵作りのスタンダードを格上げしていくような質感。

演技の素人という主演なので俳優それ自体は批評の対象としては不可侵的な要素になるかと思ったけど、主演は声も佇まいもすごくよかった。