りんごチャン

獄友のりんごチャンのレビュー・感想・評価

獄友(2018年製作の映画)
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「狭山事件」「布川事件」「足利事件」「袴田事件」。4事件の冤罪被害者たちの交流を描いたドキュメンタリー映画。

足利事件・布川事件は冤罪が認められ無罪が確定している。だが袴田事件は再審開始決定の段階、狭山事件においては再審請求の段階。正直なところこの2件については冤罪の被害者というバイアスを外して観てしまった。なぜなら正真正銘の被害者を失った家族が真犯人もわからないまま風化と闘いながら同じ社会で生活している。そんななか自白強要や証拠不十分などで冤罪被害者を叫びつつも未だ“殺人犯“という烙印を拭い去ることが出来ていない彼らに素直に感情を預けられない自分がいるからだ。それは鑑賞後事件についての詳細を知ってから更に強まってしまった。

不屈の精神で戦っている彼らの交流は強い絆で結ばれとても明るい。ただどうして途方に暮れるほど長い時間がかかったのか。失った時間の重さは計り知れない。いつ宣告されるかわからない死刑執行に怯えて朝を迎えることの恐ろしさは釈放後の袴田さんの言動に確実に表れていたのが一番印象的だった。スコアは付けられない。