スコセッシフォールド全開

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3のスコセッシフォールド全開のレビュー・感想・評価

5.0
沢山笑わされたし、泣かされたしで全く整理がついていない。とりあえず書く。
人間だけじゃなくて、異星人も動物も全て救って初めてGotGなんだと。ポ○コ○論争のくだらなさ、程度の低さ。
容赦なく尊厳を傷つけていく。人間の人体破壊はギャグになり得るのに、動物だと通用しない、ただ痛々しい。流血ではなく、胴体が斬り落とされ機械が適当に取り付けられている内包的な痛さも。動物虐待映像には永遠に慣れることはない。下からのカメラショットもいやらしく、迫ってくる支配者に我々観客にも恐怖を植え付ける。暴力映像もさることながら、ハイ・エボリューショナリーの、大規模エゴ構想とそれを実行できてしまう知能と権威が、言葉の重みを増幅させ、囚われた者たちが後ずさりし震える理由を、ストレートに見せずに伝えてくるのはすごい。正真正銘最恐のカリスマヴィラン。
贖罪の機会を与える、なんて大層なことではなくて、救助活動の優先順位が高かったというだけ。かつてライラを失い無我夢中で顔を引っ掻いたあの数秒で、駆けつけた警備により他二人も犠牲になった過去から、目的遂行に突発的な怒りは邪魔になることを学んだ。
GotGの象徴とも言えるギャグだが、そのギャグが今回ナンセンスギャグとしてではなく、多くがメンバーの成長をやんわり補助する役割を持っているのが驚き。お互いが認め、肯定し合う。
ラジカセで音楽を流し、それをそのまま映画のBGMとして使う手法。登場人物たちが自ら選曲する、ヴォリュームを変える過程は、心情投影として機能し、”制作陣の意図”の雑念を排斥してくれる。音楽での感情移入も徹底的。
ウィル・ポールターのおとぼけ顔が、”心”の幼いアダムとマッチしていた。過剰に発達している”技体”の部分が、ドラッグスの腫れた顔、首下がないグルート、全身複雑骨折のネビュラ、重体のロケット、地獄すぎる光景をわずか数分で作り出してしまう。すごいギャップ。MCU史上最高の幕開けじゃなかった?犠牲者の一人である彼も救われていく。とはいえ本筋と絡まなすぎじゃない、と思った。
有機生命惑星とネチョネチョ貯蔵室とコスチューム。ノー・ウェアもそうだけど、全て独創的で唯一無二。